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己の力量は己が知る。 正直に話したところで通用するか? 『黒川。お前は俺を裏切るのか?』 「そう来ますか?裏切る、裏切らないの話ではない。"ボス"、契約の時に言いましたが、俺は依頼を受けるときはそれ自体を選ぶ。 今回の依頼、俺を知るものは同じ内容を言うが、すべて受ける気はない。 結局負け試合になるのに、金を受け取ったら詐欺になるでしょう? ただ、さっきのボスはそれを見越しての依頼だったから受けたまでです。」 『…フッ。狙った獲物は逃がさないお前でも殺せない人間がいたのか。』 「例えスナイパーでも当てることは不可能に近い相手をどうやって殺すんです。 通りすがり?毒?…考えられるすべての暗殺は、奴らにとって生ゴミに集る蝿程度の問題で、下手すればこっちが危険です。 依頼主全員、いや、組織全員で襲撃しても敵わない相手でしょう。」 『だろうな。いつだったか、レッドドラゴンの幹部が捕まったとき組織が束で襲撃したが、相手したのは10人程度だったと聞く。 そのうち倉原心が大半を請け負ったとか。倉原心のずば抜けた戦闘力は、トップ4と呼ばれる連中の能力指数。』 「正面から向かう勝ちではなく、自分の逃げ道を考える。俺の目的はX。その情報が入るなら見せしめなどいくらでもやるさ。」 『そっちの目的と一致する分、やり易い相手だということか。』 「そうなりますね。何を考えてるのか分からない部分は多いですが。」 『…ククッ!…ワハハハ!やっぱりお前は面白い奴だ。常に中立、そうだな?』 「はい。」 『いいだろう。見せしめ、俺もしっかり見てやる。ただし、お前も全力で挑め。無様な姿を見せて、俺を楽しませてくれよ?』 …とりあえず、第一関門は突破。
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