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考えられるのは二つ。
ただの盗聴マニアという犯罪者か、もしくは俺をINEVITABLEと疑っている誰か。
後者ならば緊急事態だろう。
こうした"平穏な生活"が消える。
俺はもう一度態勢を整えなければいけなくなる。
「……何、どうした?」
「…永悟、ダメ?」
食事も済み、のんびりリビングでテレビを見ながら思考を働かせていると、横に座っていた美和子が甘えて俺にキスをした。
「珍しいな。お前が誘ってくるなんて。何かあったのか?」
「…何もない。女だってムラムラするときあるもん。」
「ククッ…そうなんだ?」
「恥ずかしいの我慢して言ったのに!もういいよ!」
「待て待て。謝るから怒るなよ。」
「バカにしてる!」
「してないしてない。…いいじゃん?いつも俺を誘う女だったらもっといい。」
キスはいつもより深く、情熱的に。
煽られた自分を演じながら、美和子の上に覆い被さる。
「電気消して?」
「ダメ。全部見せろ。お前が煽ったんだから責任とれよ。」
聴きながら見ているか?
それならそれでいい。
この機会を利用しない手はない。
警戒を最大限にしながら、演じる黒川永悟は情熱的に女を抱く。
これが何を意味するのかは、すぐに分かるだろう。
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