4

14/37
前へ
/255ページ
次へ
考えられるのは二つ。 ただの盗聴マニアという犯罪者か、もしくは俺をINEVITABLEと疑っている誰か。 後者ならば緊急事態だろう。 こうした"平穏な生活"が消える。 俺はもう一度態勢を整えなければいけなくなる。 「……何、どうした?」 「…永悟、ダメ?」 食事も済み、のんびりリビングでテレビを見ながら思考を働かせていると、横に座っていた美和子が甘えて俺にキスをした。 「珍しいな。お前が誘ってくるなんて。何かあったのか?」 「…何もない。女だってムラムラするときあるもん。」 「ククッ…そうなんだ?」 「恥ずかしいの我慢して言ったのに!もういいよ!」 「待て待て。謝るから怒るなよ。」 「バカにしてる!」 「してないしてない。…いいじゃん?いつも俺を誘う女だったらもっといい。」 キスはいつもより深く、情熱的に。 煽られた自分を演じながら、美和子の上に覆い被さる。 「電気消して?」 「ダメ。全部見せろ。お前が煽ったんだから責任とれよ。」 聴きながら見ているか? それならそれでいい。 この機会を利用しない手はない。 警戒を最大限にしながら、演じる黒川永悟は情熱的に女を抱く。 これが何を意味するのかは、すぐに分かるだろう。
/255ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1135人が本棚に入れています
本棚に追加