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ゴミ箱に近付くことなく、さらに10時間以上過ぎる。
我慢比べはこっちの勝ち。
《お金はあげたよ
どうして連絡くれないの?》
そんなメールに笑みが溢れる。
瞬間的に感じたのは、どっかからか見てること。
俺の姿を、正体を、すべてを知って、優位に立ちたいという思いが伝わってくる。
……なぁ?Xよ。
とりあえず確認しようと思い、そのゴミ箱に近付く。
どこから見ているか分からない奴を警戒せずに正面から近付くバカではない。
ではどうやって?
俺が考えたのは、その真下に通っている地下鉄。
公園の下は地下鉄線路の行き止まりの場所で、立ち入り禁止区画。
準備とはこういうものだ。
予めゴミ箱の真下をぶち抜く。
次に、ゴミ箱の底を開閉可能な状態に改造。
あとは地面の修復と地下天井の修復が済めば完了。
地下道に行くと、まずはシステムハッキングからだ。管理の防犯ビデオを停止させ、前以て同じ場所を録画しておいた映像を流すのだ。
そして、印を付けておいた天井を抜き、現れたゴミ箱の底。
それを開けば、無駄なゴミもいっしょくたで落下してくるのは仕方ない。
(…発信器も盗聴器もないな)
大きな袋に入ってきたゴミと現金。現金だけ取るとそれをチェック。
ゴミを袋のまま戻し、底を閉じ、地面と天井を修復し、カメラ映像を戻す。
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