イルミネーション

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イルミネーション

 学校が冬休みに入るのを待って、友達と観光地へ旅行に行った。  元々見て回る場所の多い土地だけれど、夜間も観光客に向けたサービスをしたいということで、この数年、冬場はイルミネーションに力を入れているらしい。  あちこち観光地を巡り、一旦宿に落ち着いてから外へ出ると、街の中はどこもかしこも電飾に彩られていた。  寒さも忘れ、友達二人と街並みを眺めながら歩く。そんな私達の足が一斉に止まった。  駅の側のデパートのイルミネーションは、それは見事なものだった。  フロアごとに違う模様が彩られているのだが、全体を通して見ると、完全に調和して一つの絵のようになっている。  三人で凄いねとはしゃいでいたのだが、暫くして全員が同じ疑問に首を捻った。 「あそこのフロアのイルミネーションて、普通なら白か黄色だよね?」 「うん。あそこに赤はないと思う」 「あそこだけ絶対バランスおかしいよね」  見事なイルミネーションなのに、どうしてもその一画の色合いが全体図に馴染まない。  それでも、駅や公共施設ではなく、デパートが独自に行っているものだから、何か宣伝目的があるのだろうと、私達は疑問を引っ込めた。  その後も夜の町を散々歩き回り、すっかりくたくたになって、宿で深い眠りに落ちていた深夜、やたらと響くサイレンの音に私達の眠りは覚まされた。
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