二十三歳の冬

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クリスマスイヴ  昨日今日明日と三連休。  チサトとオレは昨日からずっと一緒にいる。  じゃれ合って、愛し合って。  チサトはオレより三つ下の二十歳。  付き合い始めて二ヶ月弱。  会社に出入りする保険屋のおばちゃんの仲介で、まだ暑い日の続く十月にやった合コンで知り合った。  ショートカットの髪型が活発さを醸し出していて、明るくていつもコロコロと笑っている。  何度か会ったのちに向こうから告白されて、付き合うようになった。  でも、その時オレには別に気になる女性がいた。  チサトの友だちで、一緒に合コンに来ていたキョウコちゃん。  チサトの隣では控えめに笑っているけど、笑うと緩くパーマが掛かった肩までの髪の毛がフワッとなびく。  チサトと何度か会ったというのはキョウコちゃんも一緒にで、オレがキョウコちゃんに会いたかったから、友だち数人誘ってカラオケやボーリングに行ったりしていた。  何度かそうこうしているうちに、オレが車で『チサトを送ったあとにキョウコちゃんを送る』という図式が出来上がった。  チサトん()からキョウコちゃん家に行くまでに、いつ告白しようかと何度思っただろう。  でも無理なんだ。  キョウコちゃんからはオレのことなんて何とも思われてないから。  オレの気なんか知らないで「気になってる人がいてね」と顔を赤らめて話していた。  合コンした相手やオレの友人の中のヤツじゃないらしい。
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