二十三歳の冬

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 チサトから告白された日は、キョウコちゃんが気になってる人と会ってるとかで一緒に遊びに行けなくて、帰りはチサトだけ送ることになった日だった。  チサトん家からキョウコちゃん家に送るという図式が崩れ、チサトのことも嫌いじゃなかったから告白にそのままOKの返事をした。 「ヨシくん、年末のカウントダウン、行けそうにないや」  街中の公園にあるクリスマスイルミネーションを見た帰り、残念そうにチサトが言った。 「やっぱダメだった?」  うん……と言うチサトは年末年始は実家に帰らないといけないらしい。  オレも残念だと返事をした。 が、だったら……  オレの頭の中はもう切り替わっていた。  キョウコちゃんが浮かんだ。  気になっている人とは巧くいかなかったらしいとチサトから少し前に聞いていた。 クリスマス  明日仕事だから、とチサトとは日が暮れる前に別れた。  オレはキョウコちゃんに「今から渡したいものがあるから」と電話をして会いに行った。  チサトへのクリスマスプレゼントと一緒にキョウコちゃんへの物も買っていた。  車のトランクに隠してある。  それを渡したかった。  そして、年末のカウントダウンイベントにも誘うつもりだ。  キョウコちゃんのアパートに着き、また電話を入れた。  部屋から駐車場まで出てきたキョウコちゃんは、普段はコンタクトだったのか、今日は休日仕様で大きめの黒縁メガネを掛けていた。  いつもと違った印象にドキッとした。
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