二十三歳の冬

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「私にクリスマスプレゼント?わぁ、カワイイお花。嬉しい! ……やだぁ、貰えるなんて思ってなかったから何も用意してないよ」  オレが渡したプレゼントをニコニコしながら喜んでくれた後、困ったようにこちらを向いたキョウコちゃん。 「だったらさ、遊園地のカウントダウンイベントに一緒にどう?」  すかさずオレは誘いに入った。 「チサトちゃんは?」 「実家に帰らないといけないらしくて……」 「そうなんだ…… カウントダウンとかって行ったことないんだけど……何だか夜の遊園地って楽しそうだね。花火とか上がるのかな?」  キョウコちゃんの目が期待で大きくなった。  キョウコちゃんはちっちゃい。  オレの肩の高さまでもない。  大きめの黒縁メガネから覗くうるうるとなった瞳は、まるで小動物が『お腹すいた、何かちょうだい』って訴えてるものと同じ様なもので、これはもうキョウコちゃんの質問に肯定すれば一緒に行ってくれること間違いなしだと思った。 「上がる、上がる。冬の花火ってキレイだよ じゃあ、決まりだな。三十一日の夕方六時に迎えに来るから。また連絡する」  そう言ってオレは車に乗り込み、そそくさと帰った。  よしっ、と小さくガッツポーズをした。  付き合ってる女性がいるのに他の女性と一晩を過ごそうとしている。  オレがやってることはダメなことだって分かっている。  いや、ただ一緒にいるだけだ。  当たり前だけど、キョウコちゃんはオレを友だちとしてしか見ていない。
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