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キョウコちゃんはビクッとした。
ゆっくり見上げたキョウコちゃんと、見下ろしていたオレの視線が合った。
「……上川さん?」
キョウコちゃんはオレのことを名字に『さん』付けで呼ぶ。
最初の頃は敬語で、だんだんとそれは無くなってきたけど、名前の呼び方だけは変わらない。
ただの友だちだしオレが年上だし、それはしょうがないんだけど。
「ごめん、今夜だけ……」
オレは肩を抱く腕の力を強めた。
キョウコちゃんは拒否しなかった。
カウントダウンが始まって、ゼロ!!と叫んだ直後に花火が打ち上がった。
赤や緑、青など色とりどりの花火が上がる中、ワーとかキレイとか隣で聞こえる。
オレは『このまま時間が止まればいい』なんてことを思っていた。
花火の打ち上げが終わり、明けましておめでとうやハッピーニューイヤーなどの声があちこちから聞こえた。
オレたちもおめでとうと言い合った。
肩を抱いたまま、それからゆっくりと人の波に乗るようにして遊園地を後にした。
帰りの道中、飲み物を買おうと思いコンビニに寄った。
ここのコンビニは主要道路沿いにあり、大型トラックも余裕で停められるくらい広く取ってある。
オレはあまり光が当たらない場所へと車を停めた。
「降りる?」
「そう……だね。あ、お手洗いに行ってくる」
二人して車から降り、コンビニに入るとオレはホットドリンクコーナーへ、キョウコちゃんはお手洗いへと向かった。
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