1人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
南衣は、小走りに鳥居に向かっていたが、鳥居の前に着くと足の速度を緩めた。
……。
"ごるあっ"。
流れと勢いで言ったけど。
"候補"にしろ、"妃"という役目は本来そういうもので。
落ち着かない。
ミヤは笑っていたから、冗談だったとは思う。
だけど、いつかあの流れは冗談にはならなくなる。
うわぁ。
ピンクと白の派手な電飾をぼんやりと思い出す。
人に見せられない内容の漢詩。
……。
100近くある鳥居と鳥居の間。
南衣はそのひとつの隙間に、見たことのない生物を見た。
ぎょっとして、歩みが止まる。
thiくらいの子供のよう。
目が大きい。人でないことはすぐわかる。
妖怪、は、にたり、と笑う。
南衣と反対方向に駆けていき、あっという間に見えなくなった。
なに、あれ?
最初のコメントを投稿しよう!