終章 full love up to the heart

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南衣は、小走りに鳥居に向かっていたが、鳥居の前に着くと足の速度を緩めた。 ……。 "ごるあっ"。 流れと勢いで言ったけど。 "候補"にしろ、"妃"という役目は本来そういうもので。 落ち着かない。 ミヤは笑っていたから、冗談だったとは思う。 だけど、いつかあの流れは冗談にはならなくなる。 うわぁ。 ピンクと白の派手な電飾をぼんやりと思い出す。 人に見せられない内容の漢詩。 ……。 100近くある鳥居と鳥居の間。 南衣はそのひとつの隙間に、見たことのない生物を見た。 ぎょっとして、歩みが止まる。 thiくらいの子供のよう。 目が大きい。人でないことはすぐわかる。 妖怪、は、にたり、と笑う。 南衣と反対方向に駆けていき、あっという間に見えなくなった。 なに、あれ?
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