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太陽の光を浴びる湘南の海だった。
シーキャンドルを頂いた江の島を臨む
海岸は片瀬西浜か。
あの夏が走馬燈のように脳裏を巡る。
バイトに明け暮れた鵠沼海岸。寄せては
引いてゆく波。小田急線の踏み切りの
向こうのアパート。肩まで届くまっすぐな
黒髪の女。
理美、おまえは何処にいる? 誰と
生きている?
胸が締めつけられた。賢一は自分がいまだ
理美への想いを忘れることも捨て去る
ことも出来ないでいるのだと認めざるを
得なかった。彼女はもう昔のことと忘れて
いるかもしれない。
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