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理美は賢一を見上げた。
「わたしはこのままでいい。結婚を
望んではいない。」
「本当は二十五年前に迎えに行くはず
だった。」
「え?」
「卒業式の後、逢いに行くつもりだった。
一年経って卒業したら俺のところに来い、
って言う為にな。」
賢一はクローゼットの奥から古ぼけた
小さな箱を取り出した。
「それは…?」
彼はその箱を理美の掌に乗せた。開けると
小さな星のモチーフがついたK18の細い
指輪が入っていた。
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