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「このままじゃあの世に行った時に顔向け
できないだろう?」
理美はその場に崩れるように座り込んだ。
瞳から溢れた涙が頬を伝う。
賢一がいればそれで良かった。限られた
空間と時間を共有できれば他には何も
いらなかった。彼が誰に会おうと何処へ
行こうと構わなかった。それは今でも
変わらない。けれど。
とうの昔に忘れたはずの想いが甦る。
誰に会おうと、何処へ行こうと、賢一が
最後に戻って来る場所でありたい。その
想いを理美は否定できない。
賢一は理美の隣に座り込んだ。
「拒否権発動するか。」
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