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大吾さんの呟きには振り向きもせず、店から飛び出して行った千波に思わず笑ってから、私は大吾さんに聞いた。
「あといくらですか?」
「いーよ別に」
「でも……」
「そろそろ恭太も来ると思うから」
「そうですか……。でもまた彼氏に浮気されて別れたなんて知られたら男を見る目がないからだ!ってお説教されそうだから、今日はもう帰ります」
「ふっ。確かに恭太は佳奈ちゃんには厳しいからな」
私や千波より6歳年上の我妻恭太は、実家の隣近所に住む県会議員の息子でうちの兄の健斗の親友でもある。
そのせいなのか、実家から独立した今でも私のことを心配してくれる優しい兄のような存在だ。
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