家までの道のり

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 がんばって、顔だけでも起こそうとしたが、なかなか身体が言うことをきかない。かろうじて手だけまだ感覚が残っていた。 しかたなく、そのままあたりに何かつかまれるものがないか、必死に手さぐりでバタバタしていた。 何か、空気より冷たいものに手がぶつかる。 いっしゅんその冷たさにどきっとしてしまうが、全身の感覚がなくなりかけている状態の中で、何かの反応があったことがうれしかった。 最後の力をふりしぼって、私はその冷たいものをぎゅっとにぎりしめ、いきおいをつけて立ち上がったのだった。
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