10人が本棚に入れています
本棚に追加
がんばって、顔だけでも起こそうとしたが、なかなか身体が言うことをきかない。かろうじて手だけまだ感覚が残っていた。
しかたなく、そのままあたりに何かつかまれるものがないか、必死に手さぐりでバタバタしていた。
何か、空気より冷たいものに手がぶつかる。
いっしゅんその冷たさにどきっとしてしまうが、全身の感覚がなくなりかけている状態の中で、何かの反応があったことがうれしかった。
最後の力をふりしぼって、私はその冷たいものをぎゅっとにぎりしめ、いきおいをつけて立ち上がったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!