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そのニシキゴイは、とてもゆうがに、まるで川でなく、どこかのりっぱなおやしきの庭園の、大きな大きな池で泳いでいるかのように、じっと私を見つめながらただよっていた。
ふと、そのきゅうくつそうに小さな川を泳いでいるニシキゴイがとても、自由な存在のように思えて、私はいつの間にかそのニシキゴイに対してあこがれのような感情を覚えていたのだった。
すると突然、そのニシキゴイは、口をパクパクさせて、私に対して何かを伝えようとしたのだ。
私は、その言葉がどうしても聞きたくて、らんかんからなかば身を乗り出して、ニシキゴイに少しでも近づこうとしたのだった。
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