現実に戻り

2/3
前へ
/27ページ
次へ
 気づくと、あたりは真っ暗闇に戻っていた。 メガネがないとぼやけて何がなんだかわからない。 ここが、さっきいた橋の上かもわからなかったが、手でふれている金属の感触は、さっきのらんかんのものと変わらなかった。  どうしようかととほうにくれていると、しばらくしてケータイの着信音がなった。 “だいじょうぶ~ふあんにならないで~がんばるんだ~きっとなんとかなるさ~” 「あ、もしもし、パパ?」 「美沙、大丈夫か?仕事が終わって急いで帰宅したんだが、美沙が帰ってきていないから心配になって何度も電話したんだぞ。今、どこにいるんだ。」 「え?そうだったの?今、ここは…。どこだろう?」 「ここは、ここは滝川町のこいのぼり橋だよ。」 「パパ、滝川町のこいのぼり橋だって。うん、大丈夫、待ってるね。」
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加