第一章 虹野市 出逢い

2/6
30人が本棚に入れています
本棚に追加
/77ページ
暑さ凌ぎに キャンピングカーへ 移動して 二人 話が弾んでいますね。 「どこかの研究書で読んだんですよね。餓鬼憑きやひだる神の 急に空腹になって動けなくなる症状、そして何か口にすれば治るということから、糖尿病の低血糖症状ではないかって読んだんですよね」 「まさにその通り、うちのゼミでも、研究に取り上げてる学生いますよ。ああ。私、虹の都大学で民族学教えてる、佐伯 惣太郎と申します。」と自己紹介受けたお嬢。名刺を渡しながら 「私は、文庫 栞です」と 自己紹介。 佐伯教授 名刺を見ては、驚いた顔をして 「移動古書店文車堂(ふぐるまどう)。おお。あの幻気堂の2号店ですか、そうそう読ちゃん元気にしてますか?」となんと佐伯教授から祖父の名前が飛び出して 「えっ祖父のこと知ってらっしゃるんですか?」 「読ちゃんとは大学で、つるんではよくフィールドワーク行ったなあ」と懐かしむ顔。 「はい。読本じいちゃんは、元気にどこか放浪してますよ(笑)」 「ほぉ。読ちゃんらしいな。つうと今は、幻気堂は文乃さんが?」 「はい。母がきりもりしてますよ」 「文ちゃんが小さい頃よく遊んであげたなあ。懐かしいね。そのうち幻気堂に寄らせてもらいますか」 話が弾んでいると 運転席の茨木くん「お嬢。そろそろ行かないと先方待たせちゃいますよ。」 と焦れていますね。 「佐伯さんは、どちらへ?」 「友人の教授が、私のフィールドワークで遠出中に亡くなったので 式にも出られずこれからご挨拶に行くとこ。たまたま、この坂(ひだる坂)を思い出して、フィールドワークしたら、まさにひだる神に憑かれてしもうたんですよ」と 太鼓腹を ゆさゆさ揺らしながら 笑うや 「その教授って 宇佐美教授でしょうか?」 「ほお。よくわかりましたね」 「私たちも、これから、宇佐美教授宅へ 蔵書の整理に伺うんですよ。ならご一緒にいかがですか?」 「なんと奇遇か。読ちゃんのお孫さんに助けられて、行くところまで一緒とは。是非お願いします。宇佐美くんの蔵書も気になりますねえ」 と どうやら この二人 意気投合したようですね。 そのまま 茨木くん運転の 文車堂車両 宇佐美教授宅へ 向かいます。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!