3月29日 凶

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3月29日 凶

 勇太は志織とともに悲鳴村にあるスキー場に向かっていた。埼玉にある自動車工場に勤めてる2人はスキーが大好きだった。 「今年もいよいよシーズンオフね?」  助手席でポッキーを食べながら志織が言った。  カーステから広瀬香美のストロボが流れている。「ストロボ光った~♪照れちゃうくらい~♪」  勇太はハンドルを巧みに操りながら曲にノッてる。「来年はハンターマウンテンに来よう?」  塩原にあるスキー場だ。  広瀬に宇多田、倉木まではよかった。ピンク・レディーのUFOが流れてきた瞬間、志織はげんなりした。「勇太って趣味古くない?」 「MDにランダムに入れてあるからさ?おふくろがよく聞いてたんだ。ペッパー警部の方がよかった?そ~のときなの、シモシモ君たち帰りなさいと♪」 「もしもしでしょ?ハァ~別れようかな~?」  勇太は全く気にしてない様子だ。  途中、セブンイレブンでおにぎりとお茶を買って車内で昼食にした。 「たまにはお洒落なカフェで食べたい」 「派遣なんだから贅沢出来ないだろ?」 「勇太、正社員になれるよう直談判したら?」 「やだよ!前にそれやったらハゲから嫌な顔されたんだぜ?」  ハゲってのは小泉係長のことだ。 『ちょっと誉められたからってイイ気になるなよ?』ってスゴい剣幕で叱られた。 「何か腹が痛くなった。おにぎりが悪かったのかな?」志織はおなかをさすった。 「食い過ぎてるんじゃないの?」 「勇太ってデリカシーないよね!?」  朝の8時過ぎにスキー場に到着した。    不気味な祠がある。  板を装着し、ゴンドラに乗って中級コースを目指す。キュゥゥゥッ!キャァァァッ!  悲鳴が聞こえてきた。子供たちがはしゃいでいるのだろう。しかし、それはありえなかった。  ゴンドラはスゴい高さにあり、下はコースから外れた険しい崖になっていた。  キャァァァッ!キュゥゥゥッ! 「イヤだ…………幽霊?」  志織は勇太にしがみついた。 「鳥か何かだよ」  リフトを降りると銀色のゲレンデが広がる。  志織はスゴい運動音痴だが、2回3回って重ねるうちに気持ちよさが増してゆくのだ。  エッチとどことなく似ている。  ボーゲンやパラレルなどをやって、5時ぐらいに民宿に向かった。  パトカーが2台停まっていた。 「どうかしたんですか?」  志織は野次馬に尋ねた。 「殺人事件だってよ?」  命がほしいなら4月5日  金がほしいなら4月1日にススメ!
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