プロローグ

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一時間ほどかけて探索した結果いくつかのメモ用紙と手作り感あふれるサバイバルグッズが見つかった。 「みんな集まってくれ!前にここにいた人が書いたと思われる手紙があった。」 『これを見つけた誰かへ。 君がこれを読んでいるとき俺はもう死んでいるだろう。 こんなフィクションであるような出だしで手紙を書く日が来るとは思わなかった。俺は…いや、俺たちというべきか。 俺たちは部活の試合の遠征中にここに来た。総勢17人でだ。 初めは何が何だか分からなかった。だからあたりを調べることにした。 そして初めの探索で半分が死んだ。 この森には化け物が住んでいたんだ。俺たちはそれを小鬼(ゴブリン)と呼んでいる。 ここに引きこもったが、結局食料を探して探索に出て、最終的には俺ともう一人だけしか生き残れなかった。 そのもう一人も心を壊してしまった。 俺は殺された親友と恋人の敵(カタキ)をとってくる。 だから、これを読んでいる誰かにお願いだ。もう一人が生きていたなら助けてやってほしい。 お礼と言っては何だが、俺たちが調べたことをメモに書いておく。 この森にはルールがある。ルールをうまく使えば生き残れるだろう。』 「これで終わりだ。ちなみにこの手紙に書いていた人はいたか?」 山田の問いかけに答える者はいない。すでに死んでしまったのか、森へ行って帰ってこなかったのか。 しかし、今は顔も知らぬ他人のことを気にしている余裕はない。なぜならこの森には… 「化け物…小鬼か…」 そう、この森には人を殺す魔物が住んでいるのだから。 修学旅行の途中だったこともあり、多少の飲食物は持っている。 しかし、それはすぐに無くなってしまうだろうし、そうなれば森に入らなければならない。 子の魔物のはびこる森に武器もなく…だ。 その時、俺たちの不安を後押しするように、森からは聞いたこともない鳴き声がこだまするのであった。
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