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第5話「複雑な感情」
つぐみ「あー」
つぐみが、机に項垂れながら、怠そうな態度で溜め息をつく
魂「どうしたんだよ」
それを見た魂は、少し引きつった顔で問う
つぐみ「なんで、私…彼氏できないのかなぁ」
すると、それを聞いていた魂と駆は同時に
「いやぁ、だって性格怖い以前に…」
と言ったようなことを考えるが、それを直接言うと後の祭り。どうなるかは分かっているため、あえて黙っていた
つぐみ「そういうアンタ達はどうなの?」
駆「俺が愛してるのはダンス魂だけさ」
つぐみ「いいわねぇ。アンタは呑気で」
魂「俺は…」
魂は、自分は違うといいたげな様子で2人を見る
駆「知ってるって。恵里先輩だろ?」
魂「そうそう。最近 忙しいみたいで会う機会なくてさぁ」
駆「て、お前ら 付き合ってるわけじゃないんだし…それにしては仲良すぎだろ」
魂「そうか?」
つぐみ「それなら、明日。先輩フリーらしいわよ」
魂「マジで!?」
その発言に、瞬時に噛み付いた
駆、つぐみ「こいつ、危ないな」
2人は心の中でそう思いながら聞いていた
~
その次の日の昼頃。
この日は休日で、魂達も学校はなく、最近 工事や改修で綺麗になった、川沿いにある道の陰で
つぐみと駆は待機していた。
駆「ほんとに来るのか?」
つぐみ「間違いないわ」
2人が待ち構える先には、ガードパイプに腰掛け、誰かを待つ 魂がいる。
つぐみ「来たわ!」
すると、そこへ1人の女性がやって来る
「お待たせ、待った?」
女性は、申し訳なさそうな顔で魂に聞く
魂「いや、大丈夫!」
「そう。なんか、変わってないみたいで安心した(笑)」
女性は笑みを浮かべて魂を見る。その笑顔はまるで天使だ。
駆「恵里先輩。やっぱ美人だな…」
駆はその姿に見惚れる
が、その直後 つぐみに耳を引っ張られる
駆「痛い痛い痛い痛い」
その女性は、広瀬 恵里(ひろせ えり)。今は大学生で、魂達の先輩にあたる。
容姿端麗、スポーツ万能、成績優秀と文句無しで
面倒見のいいお姉さんのような存在。故に 人気が高く、彼女に恋心を抱く人も多い。
その1人が魂である。
また、バイトの掛け持ちで忙しく、魂 達とこうして会える機会は少ない方だ。
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