第5話「複雑な感情」

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魂「…」 その日、魂は1人、駅にずっと立っていた そう、先日 恵里と会う約束をしたからだ。 魂「来ないな…」 魂がスマホでLINEの画面を確認していると 駆からメッセージが届く 魂「駆?…どうしたんだ」 するとメッセージには 駆「今、俺とつぐみで宗仁さんの家に居るんだが、お前は?」 と書かれていた 魂「俺は恵里先輩を駅で待ってるんだ 」 と返信したが、すぐに返信は返ってこなかった。 暫くして返信が来る 駆「…よりによって…か」 魂「は?なにがだ?」 駆「実は今よ。宗仁さんに"きさらぎ駅"っていう怪談を聞かされててさ。なんか、奇遇だなって(笑)」 魂「そうか…たしかに奇遇だな」 駆「それでさ、その きさらぎ駅なんだけど…」 と、やり取りをしている時だ 恵里「ごめん、遅れた!」 恵里が駅にいる魂を見つけ、改札口を通ってやって来た 魂「もう遅いよ恵里さーん」 魂は、駆とのやり取りを中断し、スマホをしまった。 恵里「次の店番の人がなかなか来なくてさ。聞いたら寝坊しただって(笑)」 魂「たしかによくありますよね。それ…」 魂は恵里への印象を悪くしないため、口が滑っても 自分がそれをしたことがあるなんて言えなかった。 恵里「さ、じゃあ帰ろっか」 魂「はい!」 2人は丁度やってきた 電車に乗り込んだ 恵里「あ、魂ちゃん、もしかして私のためにここまで来てくれたの?」 魂は、自分の心を見透かされたようでドキッとしたが 言い訳できる理由は、十分にあったためそれでその場を凌いだ 魂「え、あ、ほら…この荷物」 魂は、背負っていた鞄の中から、買った服を取り出す 魂「この辺の服屋や雑貨を見ててさ!」 これがなければ魂は、ただのストーカーと思われていただろう 魂「あと、ヒーローショーがあったみたいで、それも見てたんだ!」 恵里「そう言えば魂ちゃん、ヒーロー好きだったもんね(笑)」 魂「そう!だから決して恵里さんと話すためだけに来たわけじゃないよ!」 3割ぐらいはそのつもりなのだろうが…
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