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葵央は大村先輩と私が仲がいいと思い込んでいるみたいだけど、それは先輩と後輩として仲がいいだけ。
地球がひっくり返ったって、こんなすごい先輩が私のこと好きになるわけないのに。
そういえば私、この間葵央に、売り言葉に買い言葉で『大村先輩と幸せになる』的なことを言ってしまったんだった。
「……先輩ごめんなさい。私ごときが……」
「ん?何を急に謝ってるの?」
「いや……あはは、なんでもないです」
笑ってごまかしている私を先輩がジッと見つめてくる。
先輩が醸し出す空気が少し変わったのを感じて首を傾げた。
「今日、昼休みに見たよ。彼氏と一緒にいるところ」
「え……」
「2人で階段を下りていったでしょ」
一瞬、キスしていたのを見られたのかと思って心臓が止まるかと思った。
そうじゃなかったけど、先輩が重い表情をしているから胸騒ぎが収まらない。
「彼、バイトばっかりで、桜本さんのことほったらかしなんでしょ?女の噂もあるって2年の子達が話してるのを聞いたけど?」
「……」
全部その通りで言い訳できない。
怒られているように感じて思わず俯いてしまった。
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