あと30回

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っていうか、一体何様? 自分は幸せだから、お前も幸せになってくれってこと? そうじゃないと、後味悪いからってこと? 「余計なお世話」 フイッと目線を逸らし、今度こそこの場から去ろうとした私の腕を葵央が掴んだ。 「何する……っ!」 からかってんの?と、怒ろうとした次の瞬間、引き寄せられて、いつの間にかキスをされていた。 重なったままの唇。 もう忘れかけていた葵央の唇の温度。 今自分に何が起こっているのか理解できずに、頭の中が真っ白になっていく。 な、何? 一体なんで? 停止した思考回路ではただ目を見開くことぐらいしか出来なくて。 また風が吹いて、そんな私の髪を揺らした。
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