あと25回

3/59
前へ
/117ページ
次へ
「どうしたの、ぼんやりして。体調悪い?」 「あ、大村先輩。違うんです、元気です。すみません、ちょっとサボってただけです」 放課後、部活中にコートのベンチに座っている私に声をかけてきたのは大村先輩だった。 私は中学に引き続き、高校でもテニス部に所属している。 うちの高校のテニス部は男女混合。 大村先輩はそのテニス部の先輩で3年生。 にしても、私ってばそんなにぼんやりしていたのかな? 注意しなきゃ。 自分の恋愛のことで心配をかけるなんて最低だ。 慌ててニッと笑うと、大村先輩も私の隣に座ってきた。 「サボりか、いいなぁ。僕もちょっとサボろうかなっと」 棒読みっぽいその言葉に笑ってしまう。 「先輩にサボりって言葉は似合いませんよ」 「え、僕ってそんなに真面目そうかな?」 「はい」 「言うほど真面目じゃないんだけどなー」 真面目と思われるのがなぜか嫌なのか、わかりやすく落ち込む様子を見せる大村先輩。 先輩に向かって失礼かもだけど、大村先輩は癒し系の人で、人をほっこりさせる天才。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1153人が本棚に入れています
本棚に追加