1153人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうしたの、ぼんやりして。体調悪い?」
「あ、大村先輩。違うんです、元気です。すみません、ちょっとサボってただけです」
放課後、部活中にコートのベンチに座っている私に声をかけてきたのは大村先輩だった。
私は中学に引き続き、高校でもテニス部に所属している。
うちの高校のテニス部は男女混合。
大村先輩はそのテニス部の先輩で3年生。
にしても、私ってばそんなにぼんやりしていたのかな?
注意しなきゃ。
自分の恋愛のことで心配をかけるなんて最低だ。
慌ててニッと笑うと、大村先輩も私の隣に座ってきた。
「サボりか、いいなぁ。僕もちょっとサボろうかなっと」
棒読みっぽいその言葉に笑ってしまう。
「先輩にサボりって言葉は似合いませんよ」
「え、僕ってそんなに真面目そうかな?」
「はい」
「言うほど真面目じゃないんだけどなー」
真面目と思われるのがなぜか嫌なのか、わかりやすく落ち込む様子を見せる大村先輩。
先輩に向かって失礼かもだけど、大村先輩は癒し系の人で、人をほっこりさせる天才。
最初のコメントを投稿しよう!