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「3年はもう引退なのに、こんな風に後輩のこと心配して覗きに来てくれてるじゃないですか。大村先輩は真面目で優しいです。そういうところ尊敬します」
大村先輩はこの間までテニス部のキャプテンとして部をまとめてくれていた。
3年生の先輩達は夏の大会後に引退した。
なのに大村先輩は後輩の様子を見るために、たまに覗きに来てくれている。
まだ部を引っ張っていくには頼りない2年にとってはそれはとてもありがたいこと。
「そんな風に言ってくれるのは嬉しいよ。でも僕は桜本さんこそ“優しくて真面目で尊敬できる”人だと思ってるよ」
「えっ、私ですか!?とんでもないです!」
「桜本さんはテニスは上手いし、教えるのも上手いし、後輩に慕われてる。だから僕は桜本さんをキャプテンに指名したんだよ」
大村先輩は引退の前に私にキャプテンを引き継ぎたいって言ってくれた。
……でも、私は断った。
中学の時の私なら引き受けていたと思うけれど、最近の私は葵央のことで頭がいっぱいで、部活も身に入っていなかったから。
そんな状態の私が無責任に引き受けちゃダメだって思ったんだ。
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