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「せっかく先輩が指名してくれたのに……ごめんなさい」
「違う違う、恨みがましく言ったわけじゃなくて褒めたつもりなんだ。なんだか桜本さん、最近ぼんやりしてるから元気出して欲しかったっていうか」
大村先輩が申し訳なさそうに頭をポリポリ掻きながらそう口にする。
「ありがとうございます。でも私は元気ですよ!昨日も夜ごはんの後に“大村堂”の生クリーム大福を2個食べるほどには元気です」
「あはは、それはすごく元気だ! じゃあ今度、生クリーム大福を部に差し入れしようかな」
「ホントですか?みんな喜びます!でもいいんですか?」
「もちろん、うちの商品だしタダでもらってくるし」
大村先輩がいたずらっ子のようにニッと笑う。
年上っぽくない笑顔に私もつられて笑ってしまう。
先輩のおうちはデパートにも出店している“大村堂”という有名な老舗の和菓子屋さん。
そこの和菓子はどれもおいしくて、昔からうちの家族はみんな“大村堂”の大ファン。
先輩同様、大村堂の和菓子も癒し系なんだ。
大村先輩は、葵央が私に告白しろと薦めている先輩。
先輩は、性格が申し分ない上に、頭が良くて、品のある顔立ちをした人。
マイナスが見当たらない人だから、先輩はモテる。
でも今は彼女はいないみたいだけど。
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