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* * *
「何かあった?」
葵央の声で我に返った私は顔を跳ね上げた。
大村先輩に告白された次の日の昼休み、体育館裏。
いつものようにほとんど会話なくお弁当を食べていたのに、葵央が急にそんなことを聞くから激しく動揺してしまった。
「別に……」
目が合ってしまったから、感情を読まれないように慌てて目を逸らす。
昨日大村先輩に告白された時のことを思い出していた。
「嘘だな。何か考え込んでる時の顔してる」
「え?」
「色葉は気付いてないだろうけど、何か考え込んでると、眉間をこう寄せるクセがある」
意識してなかったけどそうなの?
慌てて眉間を指で隠す。
あ、ガキっぽい行動を取ってしまった……。
葵央がこっちをジッと見ているのに気がついて、コホンと1つ咳払いしてから落ち着いた口調で聞いてみた。
「他にもある?私のそいういクセ的なの」
「あったとしても教えるわけないだろそんなの」
「なんでよ……」
「隠そうとするから」
「当たり前だよ」
「ダメだろ。そういうわかりやすいところが色葉の可愛いところなんだから」
可愛いところって……。
カァッと頬が染まっていくのが自分でもわかる。
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