あと25回

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何言ってんだか、私。 一気に食欲がなくなって、お弁当があと少し残っていたけどふたを閉めて片付けた。 「色葉」 数秒の沈黙の後、肩を掴まれて、キスされると悟った時、校内放送が流れた。 “2年真方葵央、至急職員室まで” 呼ばれたのは葵央だった。 「え、葵央呼ばれてるよ」 「……ホントだね」 放送で呼び出しなんてそうそうあることじゃない。 それなのに葵央は他人事のように呟いた後、私の肩を引き寄せてキスをした。 一瞬の出来事。 意識をすっかり放送に持っていかれていた私は、まさかこのタイミングでキスされるとは思っていなかったから、目を見開いた。 「悪い、たぶんもう戻って来られないから教室に戻っといて」 「……うん」 私が頷いたのを見届けてから立ち上がり、葵央はこの場所から去って行く。 「はぁ……」 誰もいない1人になった体育館裏で、少し大きめのため息が漏れる。 お昼休み、まだあと20分くらいあるのにな。いっちゃった。 今日のキスはほんの一瞬触れただけだった。 それを寂しいと思ってしまった自分に気がついて、慌てて首を横に振った。 ってか、職員室に呼び出し……なんなんだろう? 葵央は、一瞬驚いた顔をしていたけど、その後は呼び出しに心当たりはあるかのように見えた。
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