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* * *
──高校2年5月。
「え、じゃあ色葉と葵央くん、別れちゃったの? 色葉、大丈夫なの?」
葵央にキスされた次の日。
目の前でいちごみるくのパックを持ったまま固まっている私の幼なじみで親友の新井茉利奈(あらいまりな)に葵央とのことを報告していた。
ネコ目でオリエンタルな顔立ちの彼女はサバサバしていて、“いちごみるく”の甘ったるいパッケージが全然似合わない。
茉利奈はどちらかというと、“ブラック無糖……”ううん、いやいや“微糖のコーヒー”が似合うと思う。
「大丈夫だよ。今までもってたのが不思議なくらいじゃん。あ、そうだ、まだ別れてないんだった、正確には、あと30日で別れる」
「ん?何それ?どういうこと?」
「葵央に“30日後に別れよう”って言われたから」
まぁこれは“正確”ではないけど、本当のことは茉利奈にだって言えない。
「は?わけわかんないんだけど?別れまでのカウントダウン中ってこと?」
「まぁ、うーん、そんなとこ……」
茉利奈は「なんでまたそんなことに?」と怪訝な顔を見せる。
まぁ、普通はそういう反応だよね。
私だって実はわけわかってないんだ。
葵央が何を思ってこんな提案をしてきたのか。
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