月を見しかな

6/7
前へ
/7ページ
次へ
 海がいい? プール? 映画? それとも山? 川? と、立て続けに問われて、「人のあまりいない所」と答えておいた。 『わかった。どっか探しとく』 「佐藤」 『ん?』 「電話、ありがとうな」  一瞬沈黙が流れて、すぐに笑いで返された。 『大袈裟だよ。これぐらいで』  じゃな、と軽い調子で、佐藤の電話は切れた。  結局、花火大会はどうするつもりなのかと思ったが、あの様子だと行くのはやめたのだろう。  俺の沈んだ気持ちを救ってくれた、1人の友と淡い光。  そして儚く淡い光に照らし出されのは、 俺の叶わぬ想い。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加