月を見しかな

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 携帯を切っても、しばらくは月を見上げていた。  俺はこんなにも長い間――月がこんなにも高く上がる程、織田の言葉に捕らわれていたのか。  溜め息を1つ吐いて、窓を閉めた。  実は一向に進んでいなかった参考書とノートを閉じる。そうして携帯も、机に置いた。 「さてと、メシでも食うかな」  1人しかいない食卓で、母親が朝つくってくれた晩飯を食うのだ。共働きの両親は、今夜もまた、帰りが遅いのだろう。 「……さみしぃー……」  織田に言ったのと同じ台詞を口にする。  1人でクスクスと笑って、俺は携帯を机に残したまま、部屋を後にした。
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