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マラソン大会
ウチの高校には、正月明けすぐにマラソン大会がある。
校門から出発し、校外の決められたルートを走ってまた学校に戻って来る。
みんな寒いし疲れるし面倒だしとぼやくが、さぼる生徒は一人もいない。
昔は何人もさぼる生徒がいたそうだ。
学校から出た直後にどこかに身を潜め、さも走って来たフリで、真面目に走って来た生徒達が増えた頃に合流する。
そういうことを奴が少なからずいたそうだが、今は病気や怪我以外の理由でマラソンを拒む奴は誰もいない。
先輩達から語り継がれている噂によると、マラソン大会をサボった奴はみんな、何故か近日中に同じだけの距離を全力疾走する羽目になるというのだ。
古典的だが、蜂に追われるとか犬に追われるとかだったり、こういう大会をさぼりがちな不良などは、他校のもっと強い不良に追われたり、酷い時にはヤクザに追いかけられたりしたらしい。
マラソン大会ならある程度自分のペースで走れるが、後日、何かに追われる時は必ず全力疾走しなければならなくなるので、まだ大会で走った方がマシだという結論に皆至ったとか。
ちなみに、仮病で休んでも同じメに遭うので、現在は本当の病人怪我人以外、誰もがマラソン大会に参加している。
俺は運動神経が鈍いから、本当はマラソンなんてしたくないけれど、全力疾走よりはマシだからな。
そう思いながら、今年も寒風吹きすさぶ冬の町中を走っている。
マラソン大会…完
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