見つめる先

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   ―1―  朝食を終えて歯を磨き顔を洗った太朗は、通学鞄を片手に玄関へ直行して靴を履き替えた。 「行ってくる!」  奥の台所にいる母親に聞こえるように大声で言うと、返事は聞かずに朝日のまぶしい外へと出て行った。  朝のあれは一体なんだったのか、  洗面台で身支度を整えていた時、自分の頭上を確認したがあの2本のゲージは見えていなかった。  やっぱり見間違えなんだ。今は、そう納得することにする。  とりあえず、不注意は事故の原因なので考えを止めると、学校へ向かう通学路を自転車で1人淡々と進んでいく。  太郎が通っているのは、自宅から駅を中心に反対側にある県立の高等学校。学年は2年生で3クラスある普通科のBクラスに在籍している。レベル的には中の上くらい。一般的などこにでもある普通の学校だ。  道をある程度進んでいくと、町の中央である繁華街が近いからか、通学途中の小中学生や通勤途中のサラリーマンやOLの姿が徐々に増えていった。  そんな人たちを普通に追い越しながら、何となく横目で確認していく。  すると、やっぱり間違えではなかった。すれ違う人々の頭上には、あの謎の2本のゲージが見えていた。  どうなっているんだ!と心の中で太郎は叫びながら、ペダルを漕ぐ力を弱めて人々の頭の上を観察していく。  じっくりと見たことで、2本のゲージには人によって個体差があるのを発見した。  赤いゲージも緑のゲージも、人によって2つのゲージがそれぞれ長かったり短かったりしていた。現段階では、このことだけが分かった。
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