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「パスパス!」
「守れ! 行かせるな!」
「よっしゃ、ポイント先取!」
という感じで授業が進んでいく。
ここで太郎が注目していたのは、Bチームの少し動きがおかしい運動神経が悪いクラスメイトを見ていた。もし何か変化があるとするならばという考えからだ。
その答えは、すぐに知る切っ掛けとなる。
ゴール下、点を入れられたBチームのボールからスタートする。
ボールは右へ左へとパスしてコートを進み相手チームのゴールへと進んでいく。
中央へ行ったところで、Cチームの体格のいいクラスメイトがボールを持ったクラスメイトの行く手を阻む。パスを前に出そうと考えるが、右も左も中央もがっちりガードされてボールが出せない状況に陥った。
ふと、後ろを見るとあの運動神経の悪いクラスメイトはノーマークだった。
そこで一か八かと思ったのだろう。
「受け取れ、吉沢!」
運動神経の悪いクラスメイト――吉沢にボールが放たれた。
普通の運動神経だったら、簡単に取れるパスだった。間違いなく太郎もカットされなければ受け取ることができる。それでもミスは起きるのだ。
なかなかいい肉にぶち当たる音が響いた。
見聞きしたコートのクラスメイトが立ち止まり、一瞬だけ試合が止まる。
何が起きたのか、簡単な話だ。一言で片づけてしまうと、パスを出された吉沢がボールを受け取れなかったのだ。とはいえ、ただ受け取れなかったら、試合の流れがCチームに有利なるだけだ。そこまで大きなことはない。問題なのは、その場で吉沢が倒れて鼻血を盛大に流していることだ。
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