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日曜日。
今朝も嬉々として競馬に出掛る爺を取っ捕まえ店のレジに座らせた。
「えいっ!年よりの楽しみをー」
暴れる爺を容赦なく押さえつける
「今日は一日中店にいてもらいますよ。
崇君、これがうちの馬鹿店長です。
腐っても店長、というか腐りかけ
ですが今日はよろしくお願いします。」
虫も殺さない愛らしい笑顔を浮かべる。
が、当然目は笑っていない。
「なんじゃ、
機嫌悪いのぉ。
せっかくの可愛い顔が..「僕はどうしても外せない用事がありますのでこれで失礼します。」
結は機嫌が悪かった。
それもこれも前日助けたあの男のせいだ。
あのあと、盛大に大事なところに蹴りをいれておいたが
あれから数日、
奴は店にまで通ってくる。
可愛いを連呼し、男だと言っても引かない。
営業妨害もいいところだ。
「ぶっはぁー!うけるっ。その子もすごいガッツあるねぇ。」
彼女は友人の雨水 若菜。
サバサバとしたさっぱりした性格の結の心許せる友人の一人だ。
喫茶店 【ラビ】
木の香りが落ち着く空間に癒される。
「本当に久しぶり。また、そんな目に合ってたのか」
また、というのは以前にも何度か男に付きまとわれたことがある。
奥二重に長い睫毛。
男にしては大きすぎる潤んだ瞳。
白い陶器のような肌。
花びらを二枚並べた薄い唇を噛み締める。
苦い過去だ。
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