終焉

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  いつまでもフラアが立ちつくしているわけにもいかないので、 女官はフラアをテーブルにつかせると、 静かな夕食会が始まることとなった。 内々だけの食事にしたのは、 マナーを知らないであろう、フラアを慮ってのことだ。 ・・・それから当然、ツォンもテーブルマナーなんか知らない。 見るからにそわそわして辺りの者たちの顔を窺い、 「食べていい?食べていい?」と口には出さなくても、 その挙動全てが彼の欲求を露わにしている。 アイザスは苦笑を浮かべ、 弟ディジタリアスに合図を送る。  「・・・それではお腹を空かせている方もいるようだから、食べながら歓談しよう。  ・・・いや、楽しく歓談という訳にもいかないだろうが、  フラア、そなたの事も話さぬわけにはいかぬので、  気を楽にしながら食事をとるといい。  今朝からちゃんと食べているか?  食事は胃に優しそうなものを用意しておいた。」  
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