終焉

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  確かに豪勢なテーブルには違いないが、 良く見ると脂っこいものは少なそうだ。 デザートや飲み物も沢山用意されている。 アイザスに視線を返すと、 ハンサムな顔に優しそうな笑顔を浮かべている。  ・・・これが別の形でこういう席につけたら、最高だったのかもしれないが、  もう、そんな夢を見ることもない。 隣では早速、ツォンががっつき始めている。  「お、おいら肉がいいな!  贅沢は言わないけど、もし食わせてくれるなら!」 ある意味、こういう人間がいると重い空気も和らげられるだろう、 アイザスは手を上げると、 給仕に「肉を。」と静かに指示を出した。  ひゃっほうっ! 小躍りするツォン・シーユゥ。 もはや、笑顔を浮かべる事も忘れたフラアだが、 無邪気なツォンの姿を見るのは不快ではない。 とりあえず、飲み物だけでもと口にした。  
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