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気持ちの整理のためにも誰かに話した方がいいかもしれない。そう考えた私は、今まであったことをクロに話すことにした。
「へぇ、そんなことがあったんだ」
クロは黙って全てを聞き終えると、楽しそうに「くくっ」と声を漏らした。そんなに面白い話だったとは思えないが、楽しんでもらえたなら何よりだ。
「うん。だからもし、またロルに会えたら、私謝らなくちゃ」
「そうだね。でもその''また''って、案外すぐかもよ?」
それってどういうこと?と聞こうとしたその時、今まで木で覆われていた視界が開けた。やっと森を抜けたらしい。
「え?」
その光景に目を見張る。
森を抜けたその場所は、つい数時間前、私が駆け抜けた草原だった。
「あれが僕の家」
私はクロがニヤニヤしながら指差す方向を、恐る恐る見る。
すると案の定そこには、あのお伽話のような可愛らしいお家がぽつんと立っていた。
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