シンデレラタウン

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小鳥のさえずりと、カーテンから射し込む光。 「夢じゃなかったんだ」 目の前に広がる木の天井を見て、呟いた。 少しばかり重く感じる体をベッドから起こし、部屋におかれた洗面器で洗った顔をタオルで拭うと、ドアのすぐ横のクローゼットを開けた。 1畳ほど空間にびっしりと洋服が掛かけららた洋服に少し面食らいつつ、その中の一着の洋服を無造作に手に取る。 ぼんやりと、昨晩のロルの言葉を思い出していた。 ー『洋服?ああ、クローゼットにたくさん掛かっていると思いますよ』 あの後猛烈な睡魔に襲われ、結局確認せずに寝てしまったが、どうやらロルの言葉は本当だったらしい。 手に取った服をひとまずクローゼットの中に戻し、一通り服を物色することにした。 「ワンピースばっかり…」 右から左へ、服を手で順番に送りながら、小さく不満を漏らす。 白、黒、ピンク、水色…色やデザインは様々であったが、そこに掛かっているのは全てワンピースだった。私はそこから膝丈ほどの黄色のワンピースを選ぶと、着ていたネグリジェをぱさりと脱ぎ捨てた。これも昨日ロルから渡されたものだ。 なぜかぴったりのそのワンピースに袖を通し、背中のファスナーを閉めながら鏡の前に立つ。 ぴょこんと小さく跳ねた髪を手櫛で直し、ぱちんと?を叩いた。 「今日から、頑張ろう」 自分でも何を頑張るのかはわからなかったが、鏡に向かってそう言うことで、ほんの少し気合が入ったような気がした。 ◯ 階段を降りると、心地よいコーヒーの香りが鼻をくすぐる。 「おはようございます。ちょうど朝食が出来たところです」 どうぞ座ってください、とエプロンをしたロルが柔らかく微笑む。 「おはようございます」 同じように笑顔で挨拶を返したあとで、昨日と同じ席につく。目の前に置かれた木の皿には、サラダ、目玉焼き、クロワッサンが乗っている。 「美味しそう。いただいてもいいですか?」 「ええ、どうぞ。お口に合うといいのですが」 そう言いながらロルはコーヒーを置いてくれた。お礼を言い、朝食を口に運ぶ。どれも美味しく、それを伝えるとロルはまた微笑んだ。 ナイフで目玉焼きを切りながら、私は昨晩のことを思い返した。
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