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「あ、まだ寝てるんですね」
言いながら私はちらりと時計を見る。10時16分。いくら朝が弱いとは言っても、もう起きてもいい時間ではないだろうか、と考えた後で、とても私が言えたことではなかったと少し反省する。
「ロルは早いんですね」
「ええ、やることがたくさんありますからね」
ロルはカチャカチャと食器を片付ける手を休めることなく答えた。明日からは私が早く起きて朝食を作ろう、そう決意して最後の一口となったクロワッサンを口に放り込み、朝食を終えた。ご馳走様でした、と手を合わせようとした時、バタンッと乱暴にドアを閉める音がした。「ああ、来ましたね」とロルが溜息をつく。音のした方を見ると、クロがガシガシと頭を掻きながら大きな欠伸をしていた。
「おはよう、クロ」
「んー」
私の挨拶に返事なのか何なのかわからない反応をして、クロはドサッと席についた。その目は半分ほどしか開いていない。ロルが呆れたようにコーヒーの入ったカップを差し出す。
「まったく、毎日毎日。もっとシャキッとしなさいといつも言っているでしょう」
「んー」
「ほら、眠気覚ましのコーヒーです」
「んー」
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