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クロはカップを受け取り口をつけたかと思うと、目を見開いた。
「あっっつ!!!」
あまりの大声にビクッと体が跳ねる。
クロはカップを離すやいなや物凄い勢いでロルに食ってかかる。
「すっごい熱いんだけど!何これ!頭おかしいよ!」
「そうですか?いい眠気覚ましになったでしょう?」
にっこりと微笑むロルを、クロはキッと睨む。
「はぁ?口、火傷したよ!」
「すぐに直りますよ」
「あのさ、熱いの苦手って何回も言ってるよね?」
「私も、朝は早く起きなさいと何度も言ってますよね?」
その言葉にクロはグッと黙る。ロルは涼しい顔で微笑んでいたが、その目は笑っていなかった。明日からは何が何でも絶対に早く起きよう、と私はもう一度心に固く誓った。
◯
「そういえばさ、君、名前ないままじゃ不便だよね」
ねぇロルもそう思うでしょ、とクロワッサンを頬張りながらクロが言った。どうやらもう機嫌は直ったらしい。
「ああ、それは私も思っていました。いつまでも"あなた"や"君"と呼ぶのも如何なものかと」
「でしょ?だから名前を考えなきゃ」
「え、でもそれって…」
私は少し戸惑いながら口を挟んだ。
「支配や守護の魔法に関係するんじゃ…」
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