目覚め

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こんなわからないことだらけだというのに、本当にわからない?どういうことだろうか。私が困惑するのを見て男性は一瞬だけ悲しそうな表情を浮かべたあと、すぐに微笑みを戻した。 「いいえ、申し訳ありません。ではあなたの疑問に、答えられる範囲で答えさせて頂きますね」 「あ、はい。お願いします」 私は慌てて頭を下げたあと、男性の方に向き直る。 「まずここは、私の家です。病院ではありません。それからあなたは高い所から落ちられたということですが、ざっと見たところ怪我はされていません。ちなみに私があなたを見つけたとき、あなたはある場所で倒れていて、近くに高い建物などはありませんでした」 「え?でも私、確かに落ちて…」 「ええ、そうですよね。でもまずは聞いてください」 どんどん入ってくる情報に必死に食らいつくが、柔らかながらも有無を言わさない声にぴしゃりと遮られる。 「次にあなたがどれくらい眠っていたかということですが、申し訳ありません。私が見つけた時点でどれくらい経っていたかが定かではありませんし、少しややこしい事情があるためはっきりとはわかりません。」 「ややこしい事情っていうのは…ごめんなさい」 また口を挟もうとしたが、眼鏡の奥で光る目に思わず謝ってしまった。目は口ほどに物をいうとはこのことだろうか。 「続けますね。それから、私はあなたのおっしゃる通り医者ではありません。しかしその類のことも少しだけ。医療とはまた違いますが…とにかく私が何者かというのはまた少し説明がややこしいのです。ここの皆さんは私のことをロルと呼びますので、あなたもそのように呼んで頂ければ嬉しいです」 そういうとロルさんは眉を下げてさらに微笑んだ。ロルさん…ってことはやはり外国人なのか。ややこしいって、どういうことなんだろう。医者ではないけどそういう類のことも?もしかして無免許ということなのだろうか。説明してもらっているのに、疑問は膨れるばかりだ。 「さらに困惑させてしまいましたね。申し訳ありません。最後に、これも非常に信じがたく困惑させてしまうかもしれないのですが…」 私が眉間に寄せているのに気づいたのか、ロルさんは少し困った顔をして、申し訳なさそうに続ける。 「ここは、あなたが元いた世界とは違います」 「え?」 ロルさんが一体何を言っているのか、全く理解ができなかった。 「え、もう一度、お願いします」
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