プロローグ

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光が消えていく。 闇が近寄ってくる。 目は霞み、体は床に吸いつけられるように動かない。 ただゆっくりとゆっくりと…心臓が動いてるのが解った。 今にも止まりそうになりながらも 鼓動はしっかりと時を刻んでいた。 僕はその音が聞こえる気がした。 やり残したことはない。 ビアンカはカセラ教授に頼む事ができた。 父さんと母さんとの約束も果たせた。 何もかもやり残したことはないはずと自分に言い聞かせた。 でもわがままを言うなら、ただ一つ願いが叶うなら僕は大人になりたかった… ロミオたちと一緒にこの青空の下で。 段々と遠ざかるロミオの声を後ろに聞きながら届かぬ願いを神に祈った。
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