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朝日が窓からもれている。
アルフレドを包みこむような光で。
アルフレドは静かに目を覚ます。
「ここは…僕は倒れたはずじゃ…生きてる?」
ビアンカとロミオは疲れてはてベッドに顔を伏せている。
「気がついたかね。おはようアルフレド」
優しい声が上からふってきた。
「カセラ教授…」
「君が倒れた時、私たちも駆けつけたのだよ。もう大丈夫だよ。」
「助けていただいてありがとうございます。でもすぐに親方のところに戻らないと…」まるで倒れたことすらたいしたことがないように振る舞うアルフレド。
「ダメよ!お兄ちゃん!寝てなきゃ」
いつのまにかビアンカは起きていた。そして行かせないと抱きついた。
「ビアンカ…」
「ねぇお兄ちゃん。私お兄ちゃんが倒れた姿見た時のショックだったのよ。そしてお兄ちゃんの病気を知った時の気持ちわかる?どうして何もいってくれないの!」
カセラ教授と目を合わせる。
「ごめんビアンカ。そしてロミオも」
ロミオもビアンカの声で目が覚めていた。
「言わないのは僕の勝手なんだ。言葉にだしてしまうと弱くなるから。どうにもならないことを口に出すより、今自分にできることを精一杯したかったんだ」アルフレドは病気によって痩せた体だった。しかし凛とした眼光で二人を圧倒した。
ロミオもビアンカも、そして後ろにいるカセラ教授でさえも決意の強さを知り押し黙ってしまった。
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