隣人はホストもどき

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「おい、この映画まだ返却されへんのか? もう三週間も待ってんやけど」  誰もいないレジに立ってお客さんが来るのを待っていたときに聞こえてきた言葉。それは明らかに私に対して言っているもので。これは所謂クレームというやつだろうかと、内心上手くやれるかとドキドキしながらその声の人を見る。  私にはまだ、この人の対応なんて出来ない。直ぐ様そう思った。  だって目の前の人は黒髪に黒いサングラス、紫のシャツに黒いスーツと、どこからどう見てもホストにしか見えない上に、眉間に皺を寄せ、関西弁という恐怖を植え付ける要素しかない人だったから。  おまけに不機嫌さから普通なら明るく聞こえそうな関西弁も怖く感じるものだから、「わー、関西弁の人初めて見たー」なんて呑気なことを思う余裕すらない。
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