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そんな憂鬱なことがあったのが三日前。土曜日の夕方、部屋で勉強しているとチャイムの音が鳴り響く。今は家に私しかいないので渋々立ち上がる。
「はい」
「隣に引っ越してきた宮内いうもんやけど」
玄関のドア一枚越しに聞こえてきたその声と関西弁には妙に聞き覚えがあって、瞬時に嫌な汗が流れる。まさか。そう思って開けたドアの先には――。
「あ」
互いの顔を認識した瞬間、二人同時に声に出す。どうやら向こうも私のことを覚えているようだ。
目の前にいる彼はあのときみたいなホストっぽい格好ではなかったものの、白いシャツに赤いネクタイ、こないだと同じ黒いサングラスと、やっぱりぱっと見、怖い印象の残る格好をしていた。
まさかこんなところでまたこの人に会うなんて……。
え? というかこの人さっき何て言った? 隣に引っ越してきた!?
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