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「お前、こないだの店員やないか! あれから返却されたんか?」
「い、いえ、まだです。すみません」
「ちっ、ほんま何なんや、そいつ」
会って一番に映画が返却されたかと訊かれ、思わずバイト中じゃないのに同じように丁寧に答えてしまう。バイト先以外でこんなふうに話すのなんて初めてだから、何だか変に恥ずかしく思う。
自宅の玄関先で予想外の恐怖の再会を果たして驚いていると、後から彼の母親らしき人が来て彼の横に並ぶ。
「こらっ、初対面のお嬢さんに何やねんその口の利き方は! いつも言ってるやろ? あんたはただでさえおっかない顔なんやから優しく振る舞えて」
「うっさいわ! よく知りもしない相手に愛想なんか振り撒けるか!」
「すまんなあ、うちの馬鹿息子が。こんなんでもええ子やで、仲良うしてやってな」
「は、はあ」
「ちょ、いらんこと言うなや!」
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