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それは今のオンナが、隣のオトコと一緒に一つのベッドの上で
裸で抱き合って絡み合い、お互いの興奮が十分昂まった所で
勃起したペニスを膣に挿入させ、射精させる事である。
が、そんな常識も彼にとっては、最早お伽話にしか聞こえない。
渡辺は、彼氏の腕で柔らかく変形する胸の白い谷間の未知の感覚を
妄想し、そしてそれが自分にはもう、一生体感出来ないものだと
確信めいた絶望を抱き、アボガド君の中で今にも狂いそうになっていた。
中年の童貞男……おまけにアボガドに覆われた素顔は冴えない作り……
まともな職も無く、たるみだした身体……そんな彼を、
若く可愛いコが相手にするわけが無い。
もう、終わってしまったのだ。なにもかもが………
「 アボガドさん、アボガドさんっ…… 」
カップルが小さくなるまで睨んでいたその視野に、その声の主は
映らなかった。辺りを見回すとそれに反応して幼い笑い声がする。
「 あははっ ここだよーーっ アボガドさ----んっ! 」
狭い視界を下に傾けると、子供が抱きついて来た。
「 ねえねえっ、この前の土曜ねっ、アボガドさん見に
市民球場行ったんだよ----っ えらい?
ねえ、ことみえらい!? 」
渡辺は丁度自分の胸下辺りに埋もれる髪を、恐る恐る撫でた。
戸惑いと興奮が綯い交ぜになり、
先ほどまでとは全く別物の動悸が全身を奔り
心臓が暴れ出した。突如訪れたこの感触……
ゴムの薄皮を隔て感じたそれは、まごう事なき異性のものだった。
「 ことみとお友だちになって----っ
なってくれるまではなさないもんっ! 」
頭がかくんと上向きになり、髪がサラサラと分かれピンクのリュックを覆い、
その表情が露わなる。絶句した。
磁器を想わせる滑らかで白い肌… ふっくらしたほっぺの曲線が、
小さく尖った顎のラインと交わり美しく形成し、
その輪郭の中、奇跡的な位置取りで小さな唇を無邪気に窄め、
これまた完璧な位置に収まる天使の瞳が渡辺を……いや、
アボガド君を見上げていた。正に絶世の美少女が五感を襲った。
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