野球拳

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いや、二人で個室に入って最初の数分は、その無邪気に振る舞う 美少女を小学生として愛でる事が出来た。 ああ、可愛らしく幼い子だなと。 その言葉や所作には、女の色気がなかったのだ。勃起も治まり、 隠す必要がなくなったので本来の動きを取り戻した。 野球に関係する遊びをしようと、言葉の必要としない 野球拳をする事となった時も、下心はあまりなかった。 琴美はアボガド君の頭をどうしても取るんだと凄く興奮し、 その条件で戦いを挑んで来た。頭まで脱がされる事を大いに悩んだが、 琴美が退屈してしまうのを最も恐れていたので、 この素顔を晒す可能性のある無茶な遊戯を飲んだ。 ゴムの手袋とデカイ靴の中に履く専用靴下、 そしてマントがあるので、頭を奪うのは6勝必要だ。 いや、全身を覆うこのツナギも最悪数に入れる事も出来る。 が、この堪え難い暑さのあまり彼はこの時期、 全裸でツナギを装着していた。つまり、そういう事だ。 因みにデカイ靴は戦力にならない。何故なら 琴美の小さな靴と並んで既に下駄箱に収まっているからだ。 途中で諦めるのは琴美の自由とし、その勝負は始まった。 ワイワイキャーキャーと、戯けた踊りを交え、 琴美はアボガド君の頭を奪う所まで、 5勝3敗…… リュックと、両方の靴下を脱いで追い込んだ。 流石にここから先は緊張が奔った。 追い詰められた渡辺がまず、踏ん張って勝利。 上着を脱ぐ琴美。その下は、半袖の体操着だった。 胸の膨らみに沿って張り付く薄い布から、 その可愛らしい形と柔らかさが想像出来た。 思えばここが、理性を保てる分岐点だったのだと思う。 琴美はこれが頭を奪う最後のチャンスとなるだろう。 筆談用ノートで、再確認する。 『 次負けると、スカートでしょ? まだやるかい ? 』 「 ……… やるっ! 」 そう、やる筈だ。スカートの中もおそらく、只の体操着なのだから。 だが、昔のショーツ型ではないにしろ、渡辺には十分すぎる刺激だ。 だから……ここで負けてしまえばよかったのだ。そう、 一軍で一度も投げたことのない、琴美の全く知らない 冴えない中年のおっさん顔を晒して、 がっかりさせてあげればそれで。 結果、渡辺の素顔は守られてしまった。
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