野球拳

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「 あんっ もう…… 負けちった……  」 そう言いながら、つまらなそうにスカートのホックを外し、 ジッパーの音を響かせる。その作業に恥じらいは感じられず、 あまりに堂々としていたので、劣情はまだ抑え付ける事ができた。 スカートがパラシュートの様に琴美の足元に落下する。 小学生らしからぬスラリとした生足が、 紺色のショートパンツから伸びていた。 その白さに思わず息を飲む。 まだ、自慰行為も知らないであろう、無垢なカラダ…… そんな琴美の『 性 』のスイッチを入れてしまうのが、 自分だと言う事をまだこの時点では渡辺は想像すらしていない…… 。 『 まだ、つづけるかい? 』  ペンに力がこもる…… 「 べーーー だっ 」 琴美は舌を可愛らしく出して、そこで勝負を諦めた。 そんなアボガド君は、勝ったのにガッカリと項垂れた。 こうして野球拳は終わった。 立ちっぱなしだった二人は、脱いだ衣類をそのままにし パイプ椅子に落ち着いた。 渡辺は、目の前に座る体操着姿の少女に釘付けにされ、 未だ野球拳の続きを妄想し、頭の中にその下着姿をちらつかせていた。 琴美の『 異変 』に気づいたのは、その数分後だった。 まず、言葉数が少なくなって、 目線が個室を泳いで落ち着きがなくなった様に感じた。 「 ……ねえ、アボガドさん、ここ…… 」 『 どうしたの? 』   「 ううん……なんでもないの……… 」 落ち着きのなさは、目線だけでなくカラダ全体に広がり、 椅子の上でモジモジと身を捩らせ出した。 瞬間、条件反射的に心臓が躍動し、 血液がギュンとペニスに送り込まれるのを感じた。 とある生理現象で、琴美が一気にオンナに変身してしまったのだ。 屈託のない幼女の表情が、見る見るうちに恥じらいを帯びた 桜色に染まり、眉を寄せ俯く天使の瞳は悩ましく潤み、色気を漂わす。 キュッと結んでいた小さな唇が遠慮がちに開き、そこから予想通りの 言葉を囁く様に漏らした。 「 ねえ…… おトイレどこ? 」
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